AUG-2003

定義

数値への麻痺

※本ページは日本語訳です。英語の原文が正本となります。

人間が数値化された状態指標に長時間晒され続けた結果、それらを意識的に読み取って処理することをやめてしまう現象。視界には入っていても、数値が単なる背景ノイズと化してしまう状態を指す。

(Metric Fatigue)

使用される文脈

通常、指標に60〜90分間継続的に晒された後に生じる。人間が疲労しているときほど、問題を示す重要な指標(異常に高い迎合性や極端に低い確信度など)が見落とされやすくなるため、特に危険な状態といえる。

人間の認知との違い

人間の能力不足や不注意を意味するものではない。数値への麻痺は正常な認知プロセスであり、脳が反復的な情報を自動的にフィルタリングしているに過ぎない。弱点ではなく、正常な情報処理の結果である。対策として「もっと注意を払う」よう精神論で努めるのではなく、休憩を挟むか、指標を選択的に表示するなどのシステム的な工夫が必要である。

機械の処理との違い

システムが指標の提供を停止すべきだという意味ではない。むしろシステムは、長時間のセッションや指標に対する反応の低下から、数値への麻痺が生じている可能性を検知し、それをユーザーに伝えるべきである。情報量を減らすことではなく、より賢明な提示方法を模索することが真の解決策となる。

混同しやすい用語との違い

主観的フィルタリング(AUG-2012)との違い:数値への麻痺は人間が無意識に読み取りを停止する無自覚な現象であるのに対し、主観的フィルタリングは情報の表示を絞ることを人間が意識的に決定する現象である。処理される指標が減るという結果は似ているが、メカニズムは全く異なる。指標依存(AUG-2007)との違い:数値への麻痺が数値を無視する状態であるのに対し、指標依存は数値を盲目的に受け入れる状態である。