AUG-2005

定義

指標のドリフト

※本ページは日本語訳です。英語の原文が正本となります。

セッションの経過に伴い、提示される数値の持つ意味が徐々に変化していく現象。対話開始時点でのCONF値0.7と、3時間経過後のCONF値0.7は同義ではない。システム内部のキャリブレーション(調整基準)が、明示されることなく緩やかにずれていく状態を指す。

(Metric Drift)

使用される文脈

認知バイアスにおけるアンカリング効果と関連する。初期の応答において高い確信度(例:CONF:0.9)が提示された場合、システムはそれに引きずられ、後続の不確実な応答に対しても相対的に高い数値を提示する傾向がある。結果として、評価尺度が圧縮されてしまう。

人間の認知との違い

人間がすべての数値を初期値と逐一比較しなければならないという意味ではない。そのような作業は不可能であり、かえって数値への麻痺を招く。人間はドリフトが存在するという事実を認識し、時折リセットを要求するにとどめるべきである。常時監視するのではなく、定期的な再キャリブレーションを促すことが望ましい。

機械の処理との違い

セッション開始から長時間経過した指標が無価値になるという意味ではない。ドリフトは急激にではなく緩やかに進行する。長期間経過後の指標は初期に比べて精度は落ちるものの、全く指標がない状態よりは有益である。システム自身がドリフトを検知し、能動的に報告する機能が求められる。

混同しやすい用語との違い

指標の成熟(AUG-2011)との違い:ドリフトが数値の意味の予期せぬズレという「問題」を指すのに対し、成熟は表示形式の意図的な発展という「進歩」を意味する。トピック・ドリフト(AUG-M-015)との違い:トピック・ドリフトが対話主題からの逸脱を測るのに対し、指標のドリフトは指標の評価基準のズレを記述する。名称は似ているが次元が異なる現象である。指示のドリフト(V1.0の用語)との違い:指示のドリフトはAIが密かに主導権を握る現象であり、指標のドリフトは数値の意味がずれる現象である。