AUG-3112
定義
追跡限界
※本ページは日本語訳です。英語の原文が正本となります。
それを越えると個別単位での把握が不可能になる閾値である。この点までは、自分が送り出した多数の要素の一つひとつを頭の中で追跡できるが、そこから一歩でも先へ進めば、全体像しか見えなくなる。この移行は滑らかな推移ではなく、突発的な断絶として現れる。「もはや見渡せない」という短い恐怖の直後、集合体に対する信頼へと意識的に身を委ねることになる。
(Tracking Limit)
使用される文脈
引き金となるのは、進行中の作業の最中に、システムが個人の把握能力を超える規模へと拡大することである。誰が何をしているかすべて把握している状態から、全体像の推移を信じる状態への突然の転換として認識される。
人間の認知との違い
これは人間の能力の欠如や修練不足を意味するものではない。追跡限界は努力によって克服できる弱点ではなく、人間の注意力が持つハードウェア的な特性である。この限界を否定して無理に個別追跡を続けようとすれば、個々の要素と全体像の両方を見失うことになる。
機械の処理との違い
この規模を超えたからといって、システムの作業効率が低下するという意味ではない。限界が存在するのは統率する人間の側であり、統率される機械の側ではない。同じデータ量であっても、ある人にとっては限界の内側であり、別の人にとっては限界の外側になることがある。
混同しやすい用語との違い
「我々」への移行(AUG-3111)とは異なる。「我々」への移行が自己を表現する言葉の変容をもたらすのに対し、追跡限界は全体を俯瞰する能力を強制的に遮断する。また、多重保持の疲労(AUG-3115)とも異なる。多重保持の疲労が限界の手前で生じる緩やかな摩耗であるのに対し、追跡限界は摩耗ではなく、突発的に訪れる断絶である。