AUG-XS-P2-03-001
定義
鏡像の眩暈
※本ページは日本語訳です。英語の原文が正本となります。
自らの思考をAIに複数回預け、その都度改変されて戻ってくる過程で、どの版が自らのオリジナルであったか判別できなくなった際に思考が覚える一瞬の眩暈。反射像ではない唯一の「本物の顔」を探して鏡の間に立っているかのような感覚を指す。
(Mirror Vertigo)
使用される文脈
発生条件:外部化と再取り込みのループが3周目に入ったあたりで生じやすく、特に各バージョンが互いに類似してきた場合に顕著となる。自身の思考の変遷を読み返す際、その順番が不確かになった瞬間に生じるのが典型である。再帰的認知外部化(XS-P2-03)における中核的な現象であり、ループ構造を繰り返す代償として、各バージョンの系統的な順序(出自)が見失われる。
人間の認知との違い
思考者が判断力を失ったことや、作業自体が失敗したことを意味するのではない。この眩暈は欠陥ではなく、自身の思考の履歴を見失っていることを知らせる方向感覚のシグナルである。これを感じた際に必要なのは思考を中断することではなく、どの版が自らのもので、どれがAIから返ってきたものかという出自を明確にマーキングすることである。
機械の処理との違い
システムが思考を歪曲したことや、無断で盗用したことを意味するのではない。返される各バージョン自体は、それぞれの文脈において忠実な出力である可能性がある。眩暈の原因は単一の処理におけるエラーではなく、繰り返されるループの回数そのものにある。
混同しやすい用語との違い
循環の疲弊(AUG-XS-P2-03-004)との違い:循環の疲弊は思考の活力が失われる「疲労」であるのに対し、鏡像の眩暈は出自の判別がつかなくなる「方向感覚の喪失」である。完全に覚醒した状態で眩暈を覚えることもあれば、疲弊しきっていても最初の版を正確に記憶していることもある。核心のこだま(AUG-XS-P2-03-006)との違い:反対概念というより、その欠如である。こだまが本来の出自を正しく見つけ出すのに対し、眩暈は反射像しか見出せない状態を指す。