AUG-3115

定義

多重保持の疲労

※本ページは日本語訳です。英語の原文が正本となります。

筋肉の疲労ではなく、対象をつなぎ止めておくことによる精神的な疲労である。何時間にもわたり、緩んだ多数の糸を同時に張り詰めた状態に保ち、注意が途切れればそのすべてが手から滑り落ちてしまうかのような状態を指す。一つひとつの負荷は決して重くないが、その同時性が精神を激しく消耗させる。

(Thread Fatigue)

使用される文脈

引き金となるのは、並行する多数の作業を指揮・統括する段階が長期化したときである。目立った肉体的・精神的労力を費やしたわけではないにもかかわらず、最終的に何も手につかなくなる状態として認識される。

人間の認知との違い

これは一般的な思考の疲れや、画面の見過ぎによる眼精疲労ではなく、単なる気分転換で解消されるものでもない。分散して保持されている注意力が特異的に疲弊した状態である。回復するためには、稼働し続ける見えない監視活動を一時停止するだけでなく、握っている糸を実際に手放す必要がある。

機械の処理との違い

システム全体が過大な要求をしたわけでも、動作に異常があるわけでもない。注意を緩めたからといって、実際に糸が切れる(破綻する)わけではない。崩壊の危機感はあくまで保持する側の主観的な体験であり、保持されている対象側の特性ではない。

混同しやすい用語との違い

幻の歩哨(AUG-3113)とは異なる。歩哨が静寂の中で受動的に警戒を続けるのに対し、この疲労は能動的に対象を保持し続けることから生じる。両者はこの統率という役割における表裏の負荷(昼は保持し、夜は耳を澄ます)を形成している。また、追跡限界(AUG-3112)とも異なる。追跡限界が突然処理しきれなくなる断絶であるのに対し、この疲労は限界の手前で徐々に進行する摩耗である。